カラオケの精神。

今週のお題「カラオケの十八番」
[派遣]

さーこのテーマをどうやってハケンに持っていくか。

カラオケ、好きじゃないです。昔は仲のいいハケン友達と酔い冷ましに行ったりしたけど、十年くらい行ってない。
用事ないもんね。歌うの好きじゃないし。ハケン友達は歌が上手だったけど、みんながみんなそうじゃないしね。ひとりカラオケが流行るのは、人の歌を聴くのが好きじゃないからなんだろうし。
そういえば、これも十年以上前、韓国語の教室に通っていたときもカラオケに行ったなあ。年上の人ばっかりで、歌も上手な人ばっかりだった。この頃は焼き肉も食べに行ってたなあ。Osakaの焼き肉、安くて多くて美味しかった。畦道にしては珍しく活動的な時期だった。

友情を母にして。

カラオケの母は友情なの。時は80年代。作ったのは神戸の男性とその友達。友達とその友達は慰安旅行のバスの中で歌いたいけど伴奏がないと寂しい。それを聞いた男性が、ギターの演奏を何曲かカセットテープに録音したのをあげた。そしたらみんな喜んで喜んで、マイクの奪い合いになった。そんならたくさん演奏だけの曲を入れればもっと楽しいんじゃないの。友達は町工場の社長かなんかで機械に強かったので、ちょちょっと改造して8トラックのカセットを作っちゃった。みたいな話だったと思う。
友達と一緒に歌ったら楽しいよね。誰も楽器が弾けなくても、カラオケがあれば伴奏してもらえるから、気軽に歌が歌えるよね。そしたら旅行ももっと楽しくなるよね。
カラオケは、そういうもののはずだった。友達と一緒に楽しむもの。友情をベースにして作られた発明、だったはずだった。

思えば昔。

カラオケが発明された頃、畦道はKobeで地方公務員してた。ディスコブームが去り、偽りの好景気が訪れて昭和が終わりかけていた1987年、公務員を辞めた。同期はみんな異口同音にあんたは公務員には向いてないよね、って言ってくれた。
飲み友達がカラオケで歌ってくれたのは、その頃流行ってた、カップヌードルのコマーシャルソングだっけ。彼女が自分の部屋を出ていく情景を突きはなしたように歌う。見慣れない服を着た君。君が決めたことならそれに従えばいい。他でもない君が決めたことだから。そして残された僕は途方に暮れる。

好きだった理由。

畦道が韓国語、いやハングル文字を好きだったのは、民衆のために作られた文字だったから。難しい漢字を知らなくても文字が読めるように、発音そのままを模した書きやすい覚えやすい文字だったから。易しい優しい文字だったから。
公務員になりたかったわけじゃない。でもKobeは嫌いじゃなかった。住んでいるくらい好きだよ。Osakaも、そんなに悪くないと思う。カラオケだって、歌の上手な友達が歌っているのを聴くのは大好きだったよ。
ハケンになりたかったわけじゃない。けど、公務員や会社員よりはずっと畦道に向いている。だって自分の十八番のスキルを生かせるもの。スキルが上がれば時給も上がるし、長々働かなくてもよくなるし、条件もどんどんよくなるもの。
ハケンを好きになる必要はない。けど、自分の十八番は大事にしていたいな。