アジャイルって、その5。

プロセスやツールよりも個人と対話を。

引用: アジャイルな開発にとって、開発プロセスはツールに過ぎない。ツールとはチームにあったものを取捨選択するものである。そして、そのために必要なのはチームメンバーとの対話である。なぜなら、ツールを実際に使うのはチームのメンバーだからだ。
⇒ 自分たち/プロジェクトにあったやり方を、自分たちで選ぶ/考える:ここまで引用
自分達に合ったやり方っていうのは、もちろん自分達がやりやすい、慣れているやり方、っていうのでいいんだけど、それが顧客に伝わらないと悲しい。ので、なるたけ専門用語は使わない。
昔昔、数学の先生が言いました。数学のことなんてなーんも知らない人に説明するつもりで証明問題を解いて見なさい。案外とそれが近道。
チーム内では好きなように専門用語使っていいです。畦道なんて、自分しか使ってない言葉あるよ。気に入っているのは黒板。コマンドプロンプトのことね。
でも、顧客にはなるべく分かりやすい言葉で。Webサイトをホームページっていうのは本当は正しくないんだけど、合わせてあげて。JAVAだろうがHTMLだろうがPerlだろうがプログラム、って言っちゃう人もいるけど、斟酌してあげて。ブラウザ、って聞いただけで怒る人いるから、IEにしておいて。

包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを

引用: アジャイルでは、ドキュメントは必要なものだけを作ればいい。必要なものとは、「動くソフトウェアを作るのに必要なもの」だ。
⇒ 動くソフトウェアこそが進捗:ここまで引用
動くものが怖い人もいるのですよ。だから、まずは紙芝居で。画面の流れをそのまま紙にしたマニュアルね。その通りにボタンを押したり検索したりしていけばいい、っていうマニュアル。
作るの面倒臭いよ。でもね、実際に使うのは顧客なんだから、ちゃんと使って欲しい。使い心地を試して欲しい。
理想としては完成前のデモを、マニュアルと一緒に触ってもらうのがいいんだけどね。

契約交渉よりも顧客との協調を、

引用:アジャイルでは、契約内容に従うことよりも、実際に顧客に参加してもらって開発を行う。一つのイテレーションという単位での開発が終わるたびにデモをし、ソフトウェアの評価をしてもらう。それをフィードバックすることで、より要求に近いソフトウェアの開発を行う。
⇒ システムの価値を決めるのは顧客:ここまで引用
ソフトに詳しくない人や苦手な人は、このフィードバックの時にいろいろいちゃもんつけてくる可能性があります。分かりにくいとか使いにくいとかね。だからって具体的な改善案があるわけじゃない。で、そういう人は口答で、電話であれこれ言ってくる。ドキュメントにして具体的にここを直して、なんて事はまずありません。だって証拠が残るもん。
なので、「分かりました持ち帰ります」とか言うだけいっておいて、しばらく放っとく。で、大丈夫、忘れますから。電話が好きなだけなのよ。俺様が言ってやった、って思いたいだけだから。
あんまりしつこかったら、「重要な論点なので文章化します」ってメールにする。他のメンバーにCCしましょ。大丈夫、それで文章にできるくらいなら最初からしてますから。
顧客の言うことを全く聞かないのもだめだけど、よく分かってない人に振り回されるのは時間がもったいない。だからってないがしろにしちゃだめですよ。なんのかんの言ってもお客さんなんだから。
御意見承りました、今後の参考に致します、って、口だけでいいので感謝しましょう。

計画に従うことよりも変化への対応を

引用:計画よりも変化への対応を。最初に立てた計画は、いつか変化するものである。ならば、最初にすべての計画を立てる必要はない。大体の計画を立てておき、必要になれば綿密な計画や見積もりをすることで柔軟な対応を目指す。
⇒ 計画は立てるが、変化に対応できるように立てる:ここまで引用
計画を立てる時に、道を分けておけばいいかもですね。RPGみたいに。もしかしたらゲームの序盤からボスキャラが出てきちゃうかも。ベテランがいるチームなら、どういう仕様変更があるか教えてもらうのがいいかも。職種によってデータの扱い方が違うから。数値のデータにこだわるところもあるし、個人の識別に重点を置きたいところもあるだろうし。
データがシステムの言語そのものと相性がよくない場合だってあるしね。
なので。契約締結時に、ベースとなるデータ、システムの血液になるソースについて、顧客に確認しておきましょう。
それには、開発側が顧客のことを知るのが大事。
だいぶ前だけど、ハケンの面接の時、「この会社さんはお薬の会社です、それだけでいいです」って同行の営業が言ったことがあって。
なんか、違うなあ、って思ったの。
主にどんな薬を作ってて、規模がどのくらいかは知ってた方がいいな。
だってさ。薬品会社にもいろいろあるよ。新薬作ってる会社、そうでない会社、病院にしか売ってない会社。世界規模の会社もあれば、合併したばっかりのところとか。
せっかく縁がある会社なんだもん。顧客がどんなところなのか知っておきましょうよ。興味持ちましょうよ。
畦道は、パンの会社で事務をしてた時、イーストの話で盛り上がりました。高級な酵母は空輸しているんだって教えてもらいました。クーラーの室外機はベルトドライブで、レコードプレーヤーみたいなんですよ。ダイレクトドライブより回転が安定するからね。
どんな企業にも、他に負けない技術があります。だからこそ残ってこられたんだから。ハケン雇うような余裕もできたわけだから。
だから、どんな顧客にも誉めるべきところがあります。きっとあります。
顧客は誉めて伸ばしましょう。おだてるんじゃない、本気で誉めましょう。
どこも誉めるところがなかったら、景色が綺麗だとか交通が便利とか、とにかくいいところを見つけましょう。
そして、自分達のやりたいように自由闊達に開発して、気持ち良くお金出してもらいましょう。