おとな

おとなって何だっけ。

そういや大人になって三十年経つのだわ。
改めて世間で言うところの「大人」ってどういうもんか考えてみる。
まずは空気読む。そして雰囲気考える。だから余計なこと言わない。もっと相手の気持ちになって考える。
そういうのが大人、ってことになってる。気がする。
空気と雰囲気と相手の立場と気持ち読み取って、さて。自分の考えはどこに折り込みましょうかね。

大人のはずだよね。

去年はまるまる同じ職場でしたよ。
みんな、空気読んでますよ。雰囲気を壊さないように心を砕いてますよ。余計なことどころか言わなきゃいけないことも言わないですよ。たぶん相手の気持ちになって考えてるからなんでしょうなあ。
言葉遣いが丁寧で、挨拶をきちんとするのはいいと思う。こまめに掃除するのもね。景色もきれいだし、トイレも新しいから使いやすいし。
でもね、それだけ。
みんな大人だから、人の話を黙って聞く。よく聞く。口なんか挟むもんですか。だって挟む意見なんか持ってないもん。考えてないもん。

そういうのが大人なら。

今までそうしてきたから、ここはそういうやり方だから。それを踏襲するのが仕事だから。
それが立派な大人なら、私は大人になんかなりたくない、いや、ならないし、なれないね。
無駄な書類の文面いじくり回して、同じ数字並べ替えて、会議ではひたすらだんまりあるいは居眠りで、それが大人なら、私はそんなものになれっこない。
私が欲しいのは、新しい数字。たくさんの数字。それと面白い意見。活発な議論。仕事への暑苦しいくらいの情熱と誠意、責任感。そこからぱしぱし芽生えてくる未来への展望、先輩への敬意と後輩への配慮。
クールでドライな職場、でも仕事には熱い。
ああ、早くそういうところで働きたい。