それって会社としてどうなのかな。

[派遣]

確かに売れなきゃ意味がないわけだけど。

畦道が今働いている会社は環境も良いし、仕事も面白い。売り上げもいいみたいだしね。まあね、売り上げが良くなくちゃ畦道みたいな嵩の高い派遣は雇いませんよってこと。
嵩が高いっていうのは質が高いとは必ずしも同義語ではなくて、何の役にたつか分からんけど今時のパソコン仕事はできるみたいだから雇っておこう、みたいなノリの。
畦道を一人雇ったからって売り上げに繋がるわけじゃない。今は特に、売り上げも在庫も直接触ってないから、どういう風に役に立ってるのか、自分でもよく分からない。この業界のことはほとんど知らんしなー。
でもまあ、時給はいいし、仕事しながらちょっとずつ知識が増えていくのは楽しいよ。

今はどこでもそうだけどさ。

どんな会社でもそうなんだろうけど、もう日本はマーケットとしては飽和状態。
職場としても限界が来ていて、本当に人が集まらないみたい。今の会社は違うけど、業務のコアな部分をどんどん海外に移している会社多いなあ。お客様センターとか在庫管理とか、総務まで海外に移す会社もあるらしい。人件費安いから。下手な日本のおっさんに比べたら、中国の若い女の子の方がよっぽど役に立つもんな。英語もできるし。英語どころか、日本語もぺらぺらの人いっぱいいるもんな。

でもなあ。。

中国に空気清浄機を売って日本一になった企業。それは、製品が優秀だったから、だけじゃないはず。中国の大気汚染がひどいことになっていて、需要がものすごいから。
必要とされているものを売って利益を上げる。それは悪いことじゃない。けど、空気清浄機って、何のためにあるんだろう。子供が風邪をひかないように。花粉症の症状を和らげるため。暖房や冷房の効率を良くするため。
部屋の中の空気だけきれいになったって、工場から吐き出される汚染物質が減らなきゃどうしようもない。エイズの薬をいくら作ったって、きちんと服用しなかったり感染しないよう教育したりしなければどうしようもない。
エアコンを作っている会社の究極の目標って何だろう。全くエネルギーのロスのない空調設備。いや、エアコンのいらない世界。空気をきれいにする機械のいらない世界。冷房や暖房がいらない世界。
薬を作っている会社の目標。病気を治すこと。そうじゃない。この世から病気がなくなること。病気で苦しむ人がいなくなること。

綺麗事なのは分かってる。

エアコンも薬も必要悪。そんなことは分かってる。空気はきれいにならないし、病気だってなくならないよ。
でもな。ビルの窓からネオン眺めながら、思うわけよ。
売れればいい、どんどん売れればいい、空気がどんなに汚くなったって知ったことじゃない。それでエアコンや喘息の薬が売れればしめたこと。
企業の全てがそうじゃない。多分。けど、売り上げしか見ない、その国をマーケットとしてしか見ない、その国の国民を患者としてしか見ないなら、その会社は企業として一流とは言えない。
なぜ空気清浄機が必要なのか。なぜ喘息の薬やがんの薬が売れているのか。
機械を売るだけじゃない、薬を売るだけじゃない、人々に本物の健康を提供したいなら、何に原因があるのかきちんと見極めるべきではないのか。
国民の健康が損なわれることがその国にどのくらいダメージを与えるのか、製品をアピールするだけてなく、その国の未来を良くするために働きかけるべではないのか。
それが経済、経世済民の本質ではないのか。
分かってる。聞く耳なんて持ちゃしない。そうね、畦道だって自分の母親一人説得できないもんな。石油ストーブ危ないってデロンギ買ったのに使いやしない。
でもな。ちょっとだけでいいから、考えてほしい。エアコンは、薬は、何のためにあるのか。金儲けのためじゃない。暮らしを豊かにする、生活しやすくする、健康で長生きするためのものだったはずだ。

品があるはず。

畦道は食品会社が好きだ。働いている人が職人で、そこの製品が大好きで、深い知識を持っている。食べ物は必要。生きていくためには欠かせない。でも、食べられればいいってもんじゃない。美味しくて、美しくて、楽しくないといけない。
機械の会社も、薬の会社も、製品の知識が豊富で仕事が好きっていう人はいっぱいいる。
だけど、ちょっと売り上げばっかり言い過ぎ。グローバルとかこだわり過ぎ。成長とか自慢しすぎ。製品も薬品も、品があるはず。高い品質の製品を、本当に世界のために役立ててほしい。