なんでかなあ。

何が嫌なのか。

エントリーの電話が来て、好きな仕事だったし時給もよいし近場だったし、会社もいいところみたいなので、ふんふん、って聞いていたら、制服だって。断った。
何が嫌なのかなあ。制服の何が嫌なんだろう。

制服を着ている人が嫌なのか。

役所で働いていた頃、畦道は事務職だったけど、何人か作業着の人がいた。技術職の人は好きね、作業服。でも、実際に現場に出る人は専門職だし、仕事好きだし、責任感もある。
昭和の時代。男女雇用機会均等法の下では、女子の総合職は私服で一般職は制服、っていう意識が生まれたの。役所の事務は基本的に私服だったから、「うちら総合職の事務だから私服でしょ」っていう意識があるんだね。
だから、制服を着ている事務の女子は周りにはいなかった。ここでいう女子の制服は、銀行の人が着ているような上がベストで下がスカートのやつね。
畦道は21世紀になってからハケンになったので、職場で制服を着たのは工場だった。食品工場ね。頭の先からつま先まで制服。ネットかぶって帽子かぶってマスクして手袋までして。ここでいう制服は全身覆われた作業服。
でもね、楽しかった。清潔だったし。会社がまとめて洗ってくれるの。畳んでテーブルに並べてくれていたこともあった。
その時は、自分がそんなに制服が嫌いだとは思わなかったし、制服を着ている人も嫌いじゃなかった。工場で働くのも悪くないな、って思ってしまった。

制服を着ている人が嫌なわけじゃない。

次の仕事は、ハケンの事務系では最初の職場。外資系の事務で、だから私服だった。友達できた。そういえばこの会社で働いた時の友達が一番長続きしてるわな。チームで働いてたからかなあ。
その次がバイオ系で、面白かった。ちょっと英語あり。そういえばジーンズで通ってた。忘年会まで出てしまったよ。
その次は一番早く辞めちゃった会社。尼崎の電機。ここの制服が上から羽織るだけ、ジャンパーだった。仕事が一週間くらいなくて、トイレも流しも汚くて、陰気臭くて辞めちゃった。
その次で、ついに畦道は女子一般職の制服を着る仕事に遭遇するのだよ。食品工場内の事務だよ。けっこうPC使っただよ。人事系の事務で、会議の速記までしただよ。パワーポイントまで作っただよ。んでも制服だっただよ。
でもね。ここの人たちは働き者だった。きびきびしてて、朗らかだった。流し台はいつでもぴっかぴかで気持ち良かった。更衣室も広くて、歩いて通える距離だったのでよかった。

自分が制服を着るのが嫌なわけじゃない。

その次からはしばらく私服が続いて、大阪の機械に制服の人がいた。女子一般の制服ね。そこはちょっと前に制服を着ても着なくても良いよ、っていうことになったらしい。グローバル化のつもりかしらんね。
んでね。ここで畦道は、女子一般の制服が嫌いになった。
なんかね、制服を着ている人って、私は女子の事務の一般職だからここまでしかしません、っていう感じなのね。私服の女子にもそういう人がいた。みんなけっこう美人で、というか美人しかいなかったけど、全く仕事を理解していない人が、けっこういた。
食品工場の女子一般は、パソコンは嫌いだけど仕事はきっちりこなしてた。工場の労務管理って大変なのよ。朝早いし、夜勤もあるし。結構広いしさ。わりと肉体労働なのよね。だから作業着じゃないけど技術職みたいなもんで、だから責任感はあった。みんな社交的で、畦道は職場ではあんまり喋らない方なんだけど、ここの人とはよく話した。
でもね。大阪の機械の会社、ピルは高層で綺麗だけど、流しが汚かった。尼崎の電機よりはましだったけど、洗い物のカゴにコップが山積みになってた。

必ずしも制服を着るのが嫌なわけじゃない。

大阪の機械、たぶん工場の人はみんな責任感持って働いてたんだろうな。って思いたい。日本は技術の国。技術者が優れているから、なんとかなっている国。
なので、今エントリーしてて派遣先の返事待ちの会社、作業着タイプの制服らしいけどOKした。ちょっと朝早いけど、近いからいいや。