久しぶりに乗った。

今週のお題「海外旅行」

守備範囲広げてみた。

ちょっと遠いけど面白そうな仕事が出ていたのでエントリーしてみた。生物農薬に関係する仕事で、貿易で英語も使ったりするそうな。ハローワークに行くついでに、どのくらい時間がかかるのかシュミレーションしてみた。
JRで隣駅まで、5分ほど歩いて私鉄に。ターミナル駅で乗り換えてさらに10分。うーん、全部で40分かかるなあ。しかも交通費高いなあ。うーん。その職場、駅から徒歩15分て書いてあったなあ。うーん。
職場からの最寄り駅はとても小さな駅で、西側は山がせまっていてこんもり木が繁っている。東側はわーっと開けていて、中層のマンションもたくさん建っている。この辺は大学も高校も多いから若い人が多い。朝は混雑するのかなあ。
陽射しが気持ち良い。風が抜ける。ところで職場は駅の東なんだろうか西なんだろうか。

隣。

そういえば、30年経ったんだ。
隣の駅の近くのマンションに、友達が働いていたソフトハウスがあった。昔はゲーム作ってる会社のことをソフトハウスと呼んだのだ。NECの88シリーズとかの時代で、5インチのフロッピーにゲームが入ってて、ひとつ5000円くらいする時代だったのだ。なので、畦道はその会社の慰安旅行にくっついてハワイに行ったのだ。
飛行機の中で見た映画はロッキー4だったかな。アフガニスタンの人と一緒に闘うやつ。その頃はまだ昭和で、ソビエト連邦も崩壊していなかった。
空港で出迎えてくれたにこにこ笑顔のお兄さん、いい香りのレイをかけてくれた。ホテルの部屋は広くて、プールもあったので手始めにざっくり泳いで、またすぐピーチで泳いだ。バスに乗ってハナウマ・ベイまで行って、また泳いだ。もちろんものすごく陽焼けして、背中は焦げたみたいになった。
でもな。思った。ビーチはきれいだし、動物園のアシカもかわいいし、暑いけど空気が乾燥してて気持ち良いけど、やっぱり日本がいいな。
常夏の島では、木々はずっと花を咲かせて実をつけて、また花を咲かせては実をつける。まるまるした果実は1年中ぽたぽた落ちて、大きな嘴の鳥は食べ物に困らない。
日本では、花は一斉に咲いて一斉に散り、けれど必ず秋には実る。寒い冬、深い雪の日もあるけれど、1年は色とりどりに巡る。
やっぱり日本がいいや。それから一度も海外旅行はしていない。

坂道。

ちょうど20年経ったね。
あの時、ターミナル駅は静まり返っていた。人は大勢いるのに、誰も笑っていなかった。みんな、ただ黙々と歩いていた。
1年後、この駅よりもう少し北に、しばらく住んでいた。ここらへんは坂が多くて、桜の季節には坂道がピンク色になった。お寺の境内には菫がいっぱい咲いて、いい香りがした。
あの時は、これ以上のことは何も起こりようがないと思った。でも、それより大きなこと、ひどいことがたくさん起きてしまった。
それでも、こうして電車に乗って、乗ることができて、私はここにいる。レールの上で遊ぶ雀を眺めることができる。
これが、生きているということ。生きていかなければならないということ。
右目だけでちょっと泣いて、雇用保険を貰うべく、反対方向のホームへ。年期の入った階段を登り始めた。